トキソプラズマの病原性因子GRA15によって、宿主免疫系が強制的に活性化され一酸化窒素(NO)を産生させられることで、ヒトの抗トキソプラズマ免疫を抑制することを世界で初めて明らかにしました。
これまでマウスの研究では、病原性因子GRA15は宿主免疫系を活性化することは知られていましたが、トキソプラズマによって本来不利であるはずの宿主免疫活性化がなぜ起こるのか、その理由は不明でした。
今回、我々の研究グループは、
1 ヒト肝臓細胞では、GRA15依存的にマクロファージから放出されたインターロイキン1(IL-1、※3)により、一酸化窒素(NO)産生が誘導されること
2 トキソプラズマのGRA15により誘導された一酸化窒素(NO)が、ヒトの抗トキソプラズマ免疫反応に重要なIDO1(※4)を減少させることによって、ヒトの免疫反応を抑制すること
を発見しました。これにより、一酸化窒素(NO)の産生阻害が「ヒト」のトキソプラズマ症の新しい治療戦略となることが期待されます。