山本研究室(山本研)は2012年の4月から本格的に微生物病研究所(微研)に誕生しました。研究室の名前は「感染病態分野」ですが、英語名は「Department of Immunoparasitology」すなわち「免疫寄生虫学分野」であり、これは兼任の免疫学フロンティア研究センター(IFReC)での教室名ともなっています。
私は山本研の責任者である山本雅裕です。山本研では「免疫寄生虫学」をやっています。山本研が目指す免疫寄生虫学とは、これまでの免疫学者が免疫応答を観察するために寄生虫をただの道具として使用する、または寄生虫が生体に引き起こす免疫反応を免疫学を知らない寄生虫学者が何となく免疫実験をするというどちらか一方に立った従来の研究観でなく、「寄生虫の視点から宿主免疫応答を考える、逆に宿主にしてみれば何故こちらが用意した免疫機構があるのに寄生虫はそれを回避できて病気を起こせるのか?」という、寄生虫も宿主のどちらも重要であるという「寄生虫⇔宿主」の双方向の視点にたった研究観に基づいています。2019年4月現在でも日本の免疫寄生虫学や感染症免疫学ではまだ一方向の研究がほとんどだと思いますが、「Immunoparasitology」の中心である欧米では一般常識的な考え方であり、そのような研究観に沿った「宿主―寄生虫間相互作用」を研究した論文がNature・Science・Cellなどのいわゆる三大誌やその姉妹雑誌に次々に出ています。そのような欧米中心の「Immunoparasitology」の研究フィールドに山本研はあえて飛び込んでいますが、欧米のトップの研究グループにできることでも、微研・IFReCに所属している山本研にあるモノとテクニックを以ってすれば十分勝負になっています。
また山本研が立ち上がって7年間を経て分かったことは、山本研で寄生虫に対する宿主免疫応答で明らかにした内容は、寄生虫のみならず、細菌や真菌、ウイルスといった幅広い細胞内寄生性病原体に対する宿主免疫系に広く当てはまり、予想以上に裾野が広がりました。現在、欧米を中心とする微生物学・免疫学者と共同して、様々な細胞内寄生性病原体に対する免疫系の全貌を明らかにしようとしています。
いつの時代も、研究で一番大事なファクターは「人」です。かつて自分がそうさせてもらったように大学院生・ポスドクが主役となって、一人一人が論文作成は勿論国内外の学会やセミナー旅行を通じて「世界に挑む」ような研究を肌で感じてもらうような研究室を目指しています。また少なくとも日本では「寄生虫⇔宿主」の双方向ができる「免疫寄生虫学」はウリにできますし、山本研では世界レベルで「Immunoparasitology」の最先端研究ができる環境が整っています。
ということで、一緒に「Immunoparasitology」業界で世界を相手に一暴れしてみませんか?興味のある方は是非、気軽に山本(myamamoto@biken.osaka-u.ac.jp)までメールを下さい。
2019年4月2日 山本 雅裕