研究内容12

PLCβ4はキラーT細胞特異的にTCRシグナルを制御する
Uncovering a novel role of PLCβ4 in selectively mediating TCR signaling in CD8+ but not CD4+ T cells.
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Sasai M, Ma JS, Okamoto M, Nishino K, Nagaoka H, Takashima E, Pradipta A, Lee Y, Kosako H, Suh PG, Yamamoto M
J Exp Med.  (2021) 


 大阪大学微生物病研究所の山本雅裕教授(免疫学フロンティア研究センター兼任)らの研究グループは、病原性寄生虫トキソプラズマやガン細胞の排除を担う宿主免疫系のキラーT細胞の活性化にPLCβ4が必須であることを明らかにしました。

ホスホリパーゼ C(PLC)は、細胞内にある代謝酵素で、真核生物で広く保存された重要なシグナル伝達分子です。PLCβ4は哺乳類で13種類あるPLCファミリー分子の一つで、古くから中枢神経系での発現が知られていましたが、免疫系での役割は全く不明でした。

今回、山本教授らの研究グループは、

  • トキソプラズマ感染では、PLCβ4欠損マウス、特にT細胞特異的なPLCβ4欠損マウスが非常に弱いこと
  • 免疫細胞の中でも、特にキラーT細胞の活性化にPLCβ4が関与であること
  • キラーT細胞依存的免疫である抗ガン免疫にもPLCβ4が関与すること

を明らかにしました。

これにより、PLCβ4の人為的制御によって抗トキソプラズマ宿主免疫応答と抗ガン免疫を担うキラーT細胞反応を同時に高める薬剤の開発につながることが大いに期待されます。

論文はこちら。

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